「カニバリゼーション(カニバライゼーション)」の意味とは?使い方や例文

「カニバリゼーション(カニバライゼーション)」の意味とは?使い方や例文

「カニバル」と聞くと、「人食い」を連想する人も多いでしょう。では、「カニバリゼーション」ではどうでしょうか。実はこの言葉、ビジネスシーンではよく使われるもので、社会人としてはぜひ覚えておきたい単語の1つとなっています。

今回は、マーケティングに必須の知識である「カニバリゼーション」の意味や使い方などについて、例文付きで紹介していきましょう。

「カニバリゼーション」の意味

「カニバリゼーション」の由来

「カニバリゼーション」とは、英語の「cannibalization」に由来する外来語です。「cannibalization」は「cannibal」と「ization」から成る語で、前者は「人肉を食べる人」「共食いする動物」を意味し、後者は名詞の後につく形で、「~化する」を表す役割を持ちます。つまり「cannibalization」は、直訳すると「共食い動物化する」といった意味を持つことになりますが、通常は「共食い」と訳されます。

ビジネス用語としての意味

「カニバリゼーション」は、主にマーケティング分野で使われる言葉です。ビジネス用語としての「カニバリゼーション」は、「同じ会社の商品や店同士で競合すること」を意味します。同じ会社、もしくはグループ企業から出ている商品や店舗であるにも関わらず、市場で競合してしまい、お互いの売上を食い合う状態になることを言います。

この現象は、類似性が強く、互換性がある商品の場合に起こります。例えば新製品を投入したことで、既存製品の売上が減少するような場合が、これに当てはまります。「カニバライゼーション」と表記されることもあるほか、「カニバリ」と略して呼ばれることも多くなっています。

「カニバリゼーション」の例

「カニバリゼーション」の具体的な例を、いくつか挙げてみましょう。

コンビニエンスストアでは、さまざまな種類の菓子パンやスイーツが販売されていますが、新たにオリジナルブランドのドーナツを発売したことにより、それらの売上が落ちたというケースがあります。また、同じ会社の店舗同士が近すぎて商圏内の顧客の取り合いになったと言った事例も多くります。

出版業界においては、電子書籍版の同時販売により、紙の書籍の売上が落ちるという現象も起きています。

このほか、ある大手アパレルメーカーが若者向けに月額制スーツレンタルサービスを始めたものの、実際には40代を中心とした既存事業の顧客の食い合いが起き、早々にサービスが終了したという例もあります。

「カニバリゼーション」の使い方・例文

「カニバリゼーション」の意味は、上記のように「自社製品同士の競合状態」というものです。では、具体的にどのように使うべきなのでしょうか。ここでは、「カニバリゼーション」の実際の使い方について、例文とともに見ていきましょう。

  • 例文:「新商品の開発にあたっては、慎重にカニバリゼーションの発生を避ける必要がある」
  • 例文:「新製品とフラッグシップモデルの間でカニバリゼーションが起きてしまった」
  • 例文:「ライバル企業がカニバリゼーションに陥っているのは、こちらにとって大きなチャンスだ」
  • 例文:「意図的にカニバリを起こすことで、他社のシェアを潰す戦略もある」

「カニバリゼーション」の問題点

「カニバリゼーション」の意味や使い方について見たところで、どこが問題なのかも見ておきましょう。「カニバリゼーション」には、主として次の2つの問題点があります。

経営資源が目減りする

「カニバリゼーション」の問題点の1つが、自社内の競争で無駄な資源が使われるということです。

企業経営においては、規模を拡大することでコスト効率を高めようという手法があります。しかし、これが行き過ぎると自社内で競合が起こり、返って経営が非効率化して、経営資源を浪費するケースがよくみられます。その結果、本来他社とのシェア争いなどに向けられるべきだった経営資源が目減りし、競争力を失うことになります。

競合他社にシェアを奪われる

「カニバリゼーション」のもう1つの問題が、「競合他社のシェアの拡大」です。

上記のように、規模の拡大を追求した経営は、カニバリゼーションを起こして競争優位性を削ぎやすい傾向があります。自社内の競争にエネルギーが割かれるあまり、本来優先すべきだった消費者を意識した商品開発や、適切な価格の実現が二の次となってしまうからです。
そこに消費者志向が明確な競合他社が現れると、商品差別化などにおいて優位性を確保され、シェアも奪われてしまう可能性が高くなります。

「カニバリゼーション」の対策法

「カニバリゼーション」には上記のような問題がありますが、ではそのような状態になるのを防ぐには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、「カニバリゼーション」の対策法について見てきましょう。

商品の差別化を図る

「カニバリゼーション」を防ぐ上では、既存商品との差別化がポイントになります。「カニバリゼーションの意味」でも触れたように、この現象は商品の類似性が高い場合によく起こります。逆に言えば、既存商品との差別化がきちんとできていれば、「カニバリゼーション」は避けられるということです。それには、開発段階での綿密な市場調査や、明確なターゲットの設定などが必要になります。

意思疎通をしっかりする

「カニバリゼーション」を起こす原因の1つに、「企業内の意思疎通ができていない」ということがあります。組織が大きすぎることから、社内での情報共有がうまくいかず、結果的に似たような製品が作られてしまうわけです。これを防ぐには、社内での意思疎通をより細かく行うことが必須になります。

戦略的な「カニバリゼーション」も

「カニバリゼーション」は「同一社内の競合状態」を意味すると述べましたが、これは偶発的なものばかりとは限りません。例文でも触れたように、戦略的に、意図して起こす場合もあります。

その代表的な例が、自動車メーカーにおける「カニバリゼーション」戦略です。単一車種の大量生産という方式で始まった自動車産業ですが、やがて消費者の間に、個性や多様性を重視する傾向が強まってきます。そこで後発の自動車メーカーは、幅広い価格帯の製造ラインを用意し、その中で少しずつ「カニバリゼーション」の状態を作ることにより、消費者の活発な買い替えを促そうと考えました。また、販売チャネルにおいてもディーラーを競合させる状況を作ることで、他社に付け入る隙を与えない戦略を考案します。

特にトヨタは、この戦略を強化することで世界的なシェアを確立しました。

最後に

以上、「カニバリゼーション」の意味や使い方について、いろいろと見てきました。

このように、「カニバリゼーション」は「自社商品や店舗の競合(共食い)状態」を意味します。機能や性能などが類似する商品において起こり、さまざまなデメリットがある一方で、戦略的に発生させるケースもあります。マーケティング分野では頻出する単語ですので、しっかり覚えておきましょう。

Source: 社会人の教科書

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