孤独やストレスを癒やすのは“しっぽ”!? ロボットが導くコミュニケーションの新たな未来

副業

Qooboを開発するユカイ工学株式会社は、「ロボティクスで世界をユカイに。」を合言葉に、さまざまなコミュニケーションロボットを開発しています。

コミュニケーションをするロボットといえば、一般的には、顔や体があって人間や動物のようなフォルムのものが多く存在しています。

ユカイ工学にもそういったタイプのロボット・BOCCOはありますが、Qooboはふわふわとしたクッションにしっぽだけが付いた少々変わった姿。なでるとその回数や強弱によってしっぽを振って反応してくれるという機能が備わっています。

シンプルに見えるこのコミュニケーションには、実は「緊張・不安」「抑うつ・落ち込み」「疲労感・無気力感」を軽減する効果があるといい、セラピーロボットとも呼ばれているQoobo。一体、どのように生まれたのでしょうか。

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ユカイ工学株式会社代表 青木さん(右)と広報の青井さん(左)

14匹の“しっぽ”がヒント!社内コンペで生まれたQoobo

「Qooboは、社内コンペから生まれたプロダクトです。毎年開催している全社員を巻き込んだコンペで、エンジニアもデザイナーも営業も管理部門も総出で行い、部署や年次もシャッフルした5人前後でチームを編成します。チームごとにアイデアを出し合い、実際に動かすところまでを2〜3カ月で行います」

その中から商品化に至ったQoobo。発案者は、ユカイ工学社内の女性デザイナーだったそう。

「彼女はかつて、北海道で14匹の犬に囲まれて暮らしていたんです。上京し、ペットを飼うことが難しい状況の中で、あのたくさんの“しっぽ”がいてくれたらと思ったと言うんです」

そんな思いから生まれたアイデアノートには、クッションにしっぽが付いたごくシンプルなスケッチが描かれていました。

それをベースに、しっぽをリアルに動かすため実際の動物のしっぽを見て研究するなど、“しっぽ”だけのロボットの開発が始まったのです。

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 Qoobo(左)とPetit Qoobo(右)

少し不思議な見た目や動き、触り心地……どれをとっても愛らしく、なぜだか和やかな気持ちにさせられますが、それらは入念に計算されてできたものなのでしょうか。

青木さんに聞いてみると、笑顔で「作ってみたら、面白かったんですよね」と返ってきました。その名の通り、ユニークなアイデアを面白がる風土が根付いているユカイ工学。社内では、プロトタイプ完成時から皆面白いと盛り上がったといいます。

「ただし、商品として購入して使う場合にも喜んでもらえるのだろうか、世の中できちんとウケるだろうかと、確信が持てずにいました。そこで、百貨店や専門店のバイヤーや社外のデザイナーの方々に見せて回ったんです。

打ち合わせにQooboの原型を持参して見せる度、見た目がユニークだと興味を持ってくれる人が多く、自然となでたり抱きしめたりしてくれるんですよね」

そんな姿を目の当たりにし、ヒットを確信した青木さん。

博報堂の協力の下、よりデザイン性が高いものへとブラッシュアップし、クラウドファンディングを実施。その支援により完成したQooboは、2017年のCEATEC(IT技術とエレクトロニクスの国際展示会)にて正式発表されました。

海外でのブレイクから国内へ。ファンミーティングから新たな商品も登場

「展示会では海外メディアからのリアクションが多かったです。世の中に存在しなかったものが誕生したと面白がってもらい、全米の有名トーク番組でも取り上げられたり、賞をいただいたりしました」

先行して海外で話題になった後、国内でもその存在は知れ渡り、2018年のグッドデザイン賞BEST100を受賞しました。

「国内では、高齢者施設などでも人気があります。昨年2度行った、Qooboのユーザーを集めたファンミーティングにも、20代からシニア層まで幅広いファンの方々にお越しいただきました」

ファンミーティングでは、ユーザーが愛用するQooboのリボンを作るワークショップ、発表前の新しいQooboのプロトタイプのお披露目などが行われました。また、新色モデルの色やネーミングのアンケートも実施し、ファン投票から生まれた新色のシルキーブラックが昨年11月に発売されるなど、ユーザーの声も大事にしているそう。

「従来のサイズでは持ち運ぶのが難しい、会社でも使いやすいサイズが欲しいという声も挙がっており、そこから新たに生まれたのが『Petit Qoobo』です。2020年の1月、ラスベガスで開催されたCES(米国の各地で毎年数回開催される家電製品中心の展示会)2020で初めてのお披露目を行いました」

コロナ禍でもクラウドファンディング2671%達成、従来版も再び注目の的に

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Petit Qoobo

「Qooboよりひとまわり小さく、もっとずっと一緒にいられる」との言葉通り、小さなサイズとなったPetit Qooboは、これまでのようになでるとしっぽを振って応えてくれるのはもちろん、周りの音や声に反応してしっぽを振ったり、抱き寄せると鼓動を感じたりすることができるようになっています。

外出自粛期間と重なる形で行われたPetit Qooboのクラウドファンディングは、その状況下にもかかわらず、なんと2671%を達成しました。こちらの発売は今年の11月予定ですが、従来のQooboのユーザーも増加中なのです。

「もともと、ユーザーには一人暮らしの女性が多いです。また、電源を入れるだけで特別な設定なく使えるので、実家を離れた方がご両親へ贈られたという話も。寝るときも一緒だという声も聞きますし、コロナ以降は男性ユーザーが増えていますね」

外出自粛を余儀なくされ、“密”を避けるように求められる中で難しくなっている「触れる」というコミュニケーション。メカっぽさがなく、不思議な動物のようなロボットがその失われた行為を補完してくれることで、ストレスや孤独が軽減されたと感じる人が多いようです。

「触ると、そのなで方によって反応が返ってくる。シンプルな動きのみですが、これもコミュニケーションのひとつの形だと思っています。これだけでも『緊張・不安』『抑うつ・落ち込み』『疲労感・無気力感』といったネガティブな気持ちを軽減する効果があるのです」

一家に一台、ロボットがある未来を目指して

青木さんは「一家に一台、ロボットがいるのが当たり前になってほしい」といいます。

「便利な機能だけであれば、アプリで十分でしょう。しかし、物を動かすことに大きな意味があると考えています。画面やインターフェースだけではできないことを、形あるロボットで実現していきたいのです。

『顔をつけてくれたら買うのに』という声などもありますが、例えばお掃除ロボットのように無機質なものであっても、一生懸命掃除をしてくれるかわいい存在だと感じたりするもの。人間は想像力で補完するので、考えるための“余白”が重要なのです。

私たちは、そんな人間の想像力を刺激するロボットを生み出していきたいと考えています」

そのような世界を実現するため、ユカイ工学ではこの他にもさまざまな取り組みを行っています。

そのひとつが、「#うちロボコンテスト」。今年3月、初となる全国大会開催が予定されていた「小学生ロボコン」がやむなく中止となったことを受け、ユカイ工学では自宅で過ごす子どもたち向けの「#うちロボコンテスト」を開催しました。

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“世界で一番ユカイな生きものロボット”をテーマに、ユカイ工学のkurikitシリーズ「ユカイな生きものロボットキット」を使ってオリジナルのロボットを作り、SNSで発表するこのイベント。

ロボット作りといっても仰々しいものではなく、生きもののように動くおもちゃを作るようなイメージです。生きもののはずが、中にはおにぎりやお寿司をキャラクターにしたものもあり、自由でユニークな発想の作品が並びます。

「小学生ロボコンが開催できなくなってしまったのは残念なことですが、今回のコンテストは子どもたちだけでなく、大人も参加できるものになりました。親子でロボット作りを体験する時間は有意義なものだと思います」

作品の募集期間を終え、8月の発表に向けて審査中。全国からユニークな作品が集まり、社内でも話題になっているそうです。

「コミュニケーションロボットは、次世代のUI(ユーザーインターフェース)の主流になると考えています」という青木さん。小学生のうちからロボットに触れる子どもたちが成長した頃には、現実のものとなっている可能性もあります。ロボットが私たちにとってかけがえのないパートナーになるなど、未来は大きく変わるかもしれませんね。

<取材協力・写真提供>
ユカイ工学株式会社

取材・文=まいにちdoda編集部
編集=末松早貴+TAPE

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