マイノリティーの証明

副業

パシフィック・アドバイザリー・サービス
代表取締役社長
武本 粧紀子 氏

Takemoto 06.2020 Imageアメリカ合衆国では、人種差別は憲法で禁止されています。しかし、最近、ミネアポリスの警察官が黒人を殺害したことを発端として、黒人差別でアメリカではデモが起こったりしています。

マイノリティーは「少数のグループ」という意味で、宗教的少数者を指したり、男性のほうが圧倒的に多いビジネスの経営陣を差す場合には、女性を刺す場合もありますが、人種で使われる場合には、「白人以外」の人種という意味で使われます。
(参考文献:”Minority”)

南北戦争の頃の1860年の統計では、人種は白人(White)、自由民の黒人(Free Black)、奴隷の黒人(Slave)としか書かれていません。(アメリカ先住民は全く無視されていたようです)しかも白人が人口の85.8%を占めていたそうです。
(参考文献:“Data Analysis: African Americans on the Eve of the Civil War”)

その後、世界の様々な国や地域から移民が入ってきて、今ではアジア系、ヒスパニックの血を持つ人なども含め、マイノリティーと呼ばれている様々な人種がアメリカ合衆国で暮らしています。

アメリカ合衆国では、1950年から1960年代にかけての公民権運動の頃から、あらゆる分野での差別をなくそう、という動きがはじまりました。1964年に制定された公民権法では、人種、宗教、出身国、性別による差別は禁止されましたし、その後、身体障害、妊婦、婚姻状況、同性愛者などに対する差別も禁止されました。(参考文献:”Civil Rights Movement”)

その後差別を禁止するだけではなく、積極的に差別を是正するために、米国ではあらゆる分野にマイノリティーを投入しようと法整備が進んできました。この積極的是正措置については、私が以前に書いたコラムをご覧ください。(参考文献:「アメリカの多様化について」)

今では、従業員を雇うだけではなく、公的機関や大きな企業は、マイノリティーの人が経営する会社の取引を公共事業や大企業で積極的に増やそうとしています。現に、大きな企業では、取引先にマイノリティーの経営者の企業がどのくらいあるかをレポートする義務さえありますし、米国連邦政府は事業を請け負わせる業者に対する支払い予算の5%は「マイノリティー」の人の経営する会社を使用する必要がある、という規定もあります。(参考文献:“Government Contracting and Minority Owned Business”)

私は、パンデミックの間に、普段よりもじっくり考える時間があったため、以前からやろうと思っていたマイノリティー・女性オーナー企業(Women/Minority Business Enterprise (WMBE))の証明を申請しました。会社の設立の証明、過去3年の納税の記録、銀行の証明などに加えて、当然のことながら経営者の私が人種的に「マイノリティー」であり、「女性」である、という証明をする必要がでてきました。

「女性」の証明はすぐできました。パスポートにも、運転免許証にも「女性」と書いてありますから。

ここで悩んだのがどのように私が「マイノリティー」の人種だと証明するかです。

日本で生まれた、といっても、それだけで私がアジア系の血を持っている、という証明にはならないと思います。日本のパスポートを提出したところで、お相撲さんやサッカー選手など日本人に帰化した人だって日本のパスポートを持っていますよね。日本人の名字を示しただけで、人種はわかりませんよね。結婚して日本人の夫の姓を名乗っている人もいるし、日本人の家に養子に行き、養父母の姓を名乗っている場合もありますよね。

ところで、アメリカでは、自分の人種を定義するときに、簡単に自己申告で認められているようです。

例えば、現在行われている2020年国勢調査では、自分の人種を「白人、黒人(アフリカ系アメリカ人)、米国先住民またはアラスカ先住民、アジア人、ハワイ先住民または、太平洋諸島先住民」の中から選び、2つ以上の人種を選ぶことも可能です。(参考文献:“United States Census Bureau”)

国勢調査で、「白人」「黒人」を同じように選べても、一般的には肌が暗い色の方の人種で自分の人種を語るのが普通のようです。特に奴隷の歴史のある黒人は、すこしでも黒人の血が混じっていれば、「黒人」とみなされてしまいます。現にオバマ元米大統領もお父さんは黒人、お母さんは白人なので、黒人の血は半分のはずです。にもかかわらず、「黒人」とされています。

余談になりますが、これも奴隷差別の人種差別から来たことではありますが、米国には「一滴でも黒人の血が入っている人は黒人」(One Drop Rule)というルールさえありました。(参考文献:”Who is Black? One Nation’s Definition“)

自己申告での人種に戻りますが、民主党の大統領指名候補者として名乗りをあげていたエリザベス・ウォーレン氏は「アメリカ先住民の先祖がいる」と自分で言っていました。喧々諤々の論議の末、ウォーレン氏はDNA検査を受けましたが、アメリカ先住民の血を持っていることは証明できずに謝罪する羽目になりました。(参考文献:“Elizabeth Warren Apologizes for DNA Test, Identifying as Native American”)

結局、私自身の人種の証明の件は、マイノリティー・女性オーナー企業 (WMBE)の証明書の審査と発行を行っているイリノイ州政府の事務所にどういった書類を提出すれば良いのか問い合わせました。答えは、

「日本で生まれたと書いてあるアメリカのパスポートか、親のインフォメーションが載っている米国出生証明書を提出してください」

ということでした。

あまりに簡単な答えだったため、逆に力が抜けてしまいました。

税度だけでなく、積極的是正措置など不要になる時代が早く来ると良いですね。

Sakiko Takemoto 160 x 200-b with border弊社は人材紹介・派遣だけではなく、人事コンサルタントも行っています。ご質問などございましたら、武本粧紀子(stakemoto@paschgo.com    847-995-1705)までお問い合わせ下さい。

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